タイトル
 
 
     
 
高血圧治療

2014年6月22(日)


高血圧治療についてよく寄せられる質問にお答えします。

1.降圧剤は飲み始めるとやめられなくなるのか?


患者さんのおっしゃる「やめられなくなる」というのは多くの場合、飲み始めたせいで薬物依存症におちいり、もう薬なしでは血圧の下がらない体質に変化する、というようなイメージを持たれているようです。

降圧剤というのは、麻薬やタバコやアルコールや甘い物のように「依存症になる」ことはありませんので、もしかりに患者さんが「私はもう飲まない」と決めてしまえば今日からでもすぐにやめられるものです。しかし問題は、それではかんじんの血圧はどうなるのか?ということです。

お薬をやめれば身体は元通り、つまり元の高血圧状態の自分に戻ります。

高血圧の原因は大きく分けて3種類あります。ひとつめは、腫瘍ができたり、ホルモン異常があるような、はっきりした原因のあるもの、2つめは、肥満、塩分とりすぎ、喫煙のような生活習慣に起因するもの、そして3つめは、原因のはっきりしない(遺伝・体質)もの、です。

残念ながら高血圧は3番めの本態性高血圧という原因のはっきりしないものが一番多く、90%以上と言われています。もちろん、肥満や塩分とりすぎも上乗せ効果がありますが、お相撲さんが全員高血圧ではないように、生活習慣病とよばれる状態にも実は遺伝的素因が非常に大きく影響しています。

明らかに肥満・塩分・喫煙などの生活習慣で血圧が上がっているようであれば、まずはそれから是正して、血圧を下げる努力をしてみるべきでしょう。しかし、執行猶予は半年くらいが限度です。いつまでも、今後がんばる今後がんばると先延ばししていると、そのあいだにも動脈硬化はどんどん進行します。頑張ることを決意したからといって、病気は待っていてはくれないのです。

高血圧を放っておくと、やがて血管が硬くなり、破れて出血したり、血栓ができて詰まったりします。これが動脈硬化と呼ばれる状態で、なぜか困ったことに脳や心臓に起こりやすいのです。

昔の日本人は60歳くらいが寿命だったようです。人間は歳をとれば血圧が上がっていきます。だんだん身体の調節機能が衰えていく老化現象のひとつと考えることもできます。

しかし、医学の進歩によって、この20年くらいの間に降圧剤はめざましく進歩しました。同時に高血圧が怖いという意識が高まって、早めに治療を開始していることが、重大な病気の予防に大きく貢献しています。

原因のはっきりしない本態性高血圧というのを根本的に治してしまう治療法はありません。風邪や骨折のようにいずれ治るというものではないことがこの病気の厄介なところです。それはさっきも申し上げたように高血圧が老化と関係しているからだと思います。

そういう意味で、降圧剤を飲み始めるというのは、自分がそろそろその年代に達したということを意味します。若い頃は血圧が低かったのに、とおっしゃるかたは多いですが、その通り、その頃のあなたは若かったのです。

最後になりましたが、高血圧、糖尿病、脂質異常、これらの治療目的は、これらが最終的に動脈硬化をおこす、つまり脳梗塞や心筋梗塞や腎不全を起こすことを防ぐことです。

これらのどれよりも強く動脈硬化を誘発するものがタバコです。もしタバコを吸っているならば、これらのことを少々是正しても焼け石に水、ムダになってしまいます。

取り返しのつかない状態になる前にタバコは絶対吸わないようにしましょう。










2024.03.19 by NOZAKI SHIRO
    新着記事

2014年6月22(日)
2014年1月16(木)
2011年10月10(月)
2011年10月7(金)
2010年3月21(日)


バックナンバー

2009年6月16(火)
2008年9月19(金)
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スペーサー

ボトム

Copyright (C) SHIRO NOZAKI All Rights Reserved.